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2007年8月27日 (月曜日)

映画「シッコ」(2007年、米)

        ★★★★☆       

 「華氏911」(2004年、米)の監督マイケル・ムーアが、

アメリカの医療保険制度に切り込んだドキュメンタリー。

 原題「sicko」は病気、病人を意味するスラングだ。

 日本でも、消えた5000万人分の年金記録など、

社会保険制度の不備が明らかになっているが、

医療保険制度は(今のところ)しっかりしている。

 これに対し、アメリカでは、

無保険の人が5000万人もいるほか、

民間の保険(アメリカには一部を除き公的保険がない!)

に加入していても、保険会社があの手この手で

医療を受けさせない実例が

これでもか、というほど出てくる。

 夫と妻の2人とも病気になり、自己破産して家を失った老夫婦、

病院をたらいまわしにされた揚句亡くなった幼児、

指の縫合手術を受けられなかった男、

薬代を得るために老骨に鞭を打って働く男、

医療申請を却下するほど昇進する医師、

治療費を払えない患者を貧民街に捨てる病院・・・

 圧巻は「9・11」事件の際、

ボランティアで救出作業をしたため病に冒された市民らだ。

 ムーアは、医療が受けられない彼らを

テロリストたちが収監されている

グアンタモナ海軍基地に船で連れ行く。

基地内の刑務所で、囚人は無料の

手厚い看護が受けられるという矛盾。

 ムーアの突撃取材にも、

プライベートをさらけ出して取材に応じた患者にも、

膨大な素材を見事につないだ編集陣にも、

惜しみない拍手を送りたい。

素晴らしいドキュメンタリーだ。

 ただ、アメリカの暗部を際立たせたいためか、

カナダ、イギリス、フランス、キューバなどを、

あたかもこの世の楽園であるかのように描いたのは

やりすぎだろう。それらの国にも(例えば

高い税金など)問題点はあるはずだ。

 また、アメリカに公的保険が根付かなかった

理由として、「公的保険が共産主義につがる

ことを政治家が恐れた」ことをあげていたが、

もっと他に事情があるような気がした。

 ムーアが、この映画をとるために、

20キロやせたという話があるが、

そうも見えなかった。

         ※

[監][製][脚]マイケル・ムーア
[編]クリス・スワード、ダン・スウィエトリク、
ジェフリー・リッチマン
[上映時間] 113分

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映画・テレビ」カテゴリの記事

コメント

こんにちわ。これちょっと見たいと思いつつ、Mムーアの暑苦しさに躊躇してました。こちら読んでやっぱ行ったほうがいいか・・と。ところで「ミランカ」という動画サイトの「博士も知らないニッポンの裏」という番組のバックナンバーで、映画評論家の町山さんが、この映画に関わるちょっと面白いこと言ってます。いまなら無料で見られるので、ご興味があればぜひ。別に私はミランカの回し者じゃありませんが(笑

投稿: ぴぴ | 2007年8月27日 (月曜日) 17時10分

 >ぴぴさま
「博士も知らないニッポンの裏」、(水道橋博士、宮崎哲弥、町山智浩が出演)さっそく見ました。「ミランカ」は初めて知りましが、いろいろな番組がありますね。

 「シッコ」は、人によって賛否両論、意見はさまざまでしょうが、わしは面白かったです。「新宿バルト9」でやってますよ。

投稿: 富久亭 | 2007年8月27日 (月曜日) 18時44分

この映画は、ドキュメンタリーの枠を超えた映画ですよね。
難しいことは抜きにして、考えさせられるだけじゃなく、かなり楽しめました。
ムーア監督、あれで20キロ痩せてたんですねー、後で知りました。

また訪問させていただきますね。

投稿: Fennel | 2007年9月 3日 (月曜日) 00時02分

> Fennelさま
 おっしゃる通りです。
ドキュメンタリーとしてだけではなく、
娯楽作品としても
成立していますね。

投稿: 富久亭 | 2007年9月 3日 (月曜日) 07時10分

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