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2008年3月 7日 (金曜日)

本「生き物を飼うということ クワガタムシからニシキヘビまで」

ちくま文庫、木村義志

鳩山邦夫氏が「友人の友人がアルカイダ」と発言して物議をかもした時、

世間には「蝶のコレクターなら常識外れの発言もしょうがない」

という雰囲気があった。

この本の著者は、鳩山氏よりもディープな生物採集・飼育マニアだ。

 物心がついたころから昆虫、犬猫は言うに及ばず、

魚類、爬虫類、果ては「廃油ボール」に付着した生物まで、

そんなものを飼ってどこが面白いのか、

というものも飼育してきたのである。

しかも、普通の子どもは「生き物遊びを卒業して大人になっていく」が、

著者はそれを書くことを仕事にして現在に至っているのだ。

 常識はずれの人が書いたオタク本と一蹴したくもなるが、

一読してみると、

なにかこう人生の機微に触れるような感じもする。

著者はまず「生き物が好きな人」と

「生き物を飼うことが好きな人」を区別して、

「飼うことが好きな人」の本質は、

ほかではちょっと得がたい人生の快楽を、

多少のリスクは承知のうえで、

当事者として体験したい人だと断言する。

そして、「飼う楽しみの本質は、

生き物のめずらしさや見た目の美しさだけではない」という。

言っていることがよく分からなくても、

幼少から学生時代にかけての著者の飼育体験を読んでいるうちに、

「ああ、そういうことか」と分かってくる。

 もちろん、少年向けの動物飼育法を何冊も書いている著者だけに、

「あまり大きな場所を必要としない小動物」飼育の

実践的なテクニックも図解入りで詳細に解説している。

 実用書であり、

ファーブル昆虫記にも引けを取らないエッセーであり、

生命の本質に迫る哲学書でもある、

といったらほめすぎか。

 本書はちくま文庫に入る前、

草思社から出版された。

こんな良書を出す会社も民事再生法を申請する世の中だ。

生物も昔より飼いにくくなっているに違いない。

(800円+税、2005年7月10日)

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