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2008年9月18日 (木曜日)

映画「おくりびと」(2008年、日)

    ★★★★★

人の死を正面から見つめ、厳粛の中にユーモアもちりばめたドラマ。

第35回モントリオール映画祭グランプリ受賞。

傑作だ。

    ◇

 チェロ奏者の小林大悟(本木雅弘)は

所属していた楽団の解散で失業し、

妻の美香(広末涼子)を連れて故郷の山形へ帰る。

求人広告を見つけた仕事は、

遺体を棺に納める「納棺師」という仕事だった。

社長(山崎努)のもとで、

修行にはげむ大悟。

始めはとまどった大悟だが、

やがて、人の死に真摯に向かう重要な仕事だと思い始める。

大悟の仕事を知った幼友達は大悟を非難し、

美香は家を出ていく。

しかし、幼友達の母親(吉行和子)の死を通じて、

美香らは大悟の仕事を見直す。

そこへ、30年前に家を出て以来音信不通だった

大悟の父親が死んだとの電報が来た・・・・・・

    ◇ 

 この映画ほど遺体を長々と見せられる映画もないだろう。

それぞれの遺体には、それぞれの人生があったし、

残された家族もいる。

自殺したゲイの息子に女の子の化粧を望む母親、

不良になりオートバイ事故で死んだ娘に

まじめだったころの化粧で旅立って欲しいと願う母親、

ガンで闘病の末死んだ妻の死化粧を見て、

「きょうの妻が一番きれいだった」と大悟に礼を言う夫、

夫の遺体に口紅でキスマークを付け「お父ちゃんありがとう」という妻。

それぞれのエピソードの背後には、

膨大なドラマを感じさせる。

 小道具も効果的に使われている。

生きていたので川に放してやったとたんピクリともしなくなる蛸、

故郷の川を必死に上り、力尽きて死んでいく鮭、

フグのしらこ、フライドチキン、

そして父親が家出する前に川原でひろった小石・・・・・・・

 ともすれば暗くなりがちな話だが、

随所にちりばめられたユーモアが生き、

逆に前向きに生きたくなる映画だ。

本木、広末、山崎はじめ皆うまい。

久石譲の荘厳な音楽が効果的だ。

山形・庄内地方の四季の映像も素晴らしい。

「新宿ピカデリー」3で。

     Okuri

[監]滝田洋二郎
[総]間瀬泰宏
[脚]小山薫堂
[撮]浜田毅
[音]久石譲
[編]川島章正
[出]本木雅弘、広末涼子、山崎努、
 余貴美子、吉行和子、笹野高史
[上映時間]130分

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