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2008年11月29日 (土曜日)

蓮實重彦さんの映画論講義

 紀伊国屋サザンシアターで、

映画評論家、蓮實重彦さんの講演を聴いた。

著書「映画論講義」の刊行を記念したものだ。

蓮実さんは冒頭、

「映画は何ものかに似ることで

かろうじてみずからを形成せしめる

脆弱な表象形式だ」

と述べた。

のっけから難しげだが、

約20本の映画のシーンを見ながらの

蓮実さんの解説で、

映画の魅力でもあり、危険さでもある

「類似性の罠」という言葉がおぼろげながらわかってくる。

マキノ雅弘監督の「侠骨一代」(1967年)と「捨てうり勘兵衛」(1958年)、

小津安二郎の「秋刀魚の味」(1962年)における

人物の類似性、

「パーム・ビーチ・ストーリー(結婚五年目)」(1948年)の

3組の双子の登場、

リュミエール兄弟らの

パリ、ニューヨーク、名古屋に到着する列車の映像・・・

母親が息子を戦場に訪ねるジョン・フォードの「リオ・グランデの砦」(1951年)と、

祖母が孫を訪ねるアレクサンドロ・ソクローフの

「チェチェンへ アレクサンドラの旅」(2007年)との

時間と場所を超えた肉親の愛情の類似性には感動した。

無数の細部からなる映画の魅力。

こうしてみると、わしは良い映画をこんなにも見逃していたのだなあと

つくづく思った。

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コメント

おはようございます。TBありがとうございました。
蓮實さんの講義があったのですね。
「映画論講義」は映画好きな方は一度は読んでおくべき本かと思いましたが、何分映画そのものが古かったために、私にとっては抽象的論議に終始してしまった感がありますが、実際の映像を観ての講義ではすごく鮮明にわかるのでしょうね。

>「映画は何ものかに似ることで
かろうじてみずからを形成せしめる
脆弱な表象形式だ」

うまい表現ですね。

投稿: 樹衣子 | 2008年12月28日 (日曜日) 11時40分

>樹衣子さま
 コメントどうもありがとうございます。
 映像を見ながらの講義、
良く理解できました。
本だけでは難解ですね。

投稿: 富久亭 | 2008年12月29日 (月曜日) 09時10分

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映画が好きで、ブログなる便利なツールを使いはじめて以来、観た映画に感動してはせっせと駄文を書き散らしてきたわけだが、自分の文章はつくづく単なる感想の羅列だと感じている。勿論、感想文というスタイルが格下というわけではないのだが、時にはいっぱしに批評にも挑戦してみたら、と自分を励ましたくなる。もっとも、新聞・雑誌等で拝読するプロの批評家の文章もたいしてさえないが(定年退職された読売新聞の映画担当記者・土屋好生さんや川村二郎氏は好きだったが・・・。)、要するに感想と批評は、違う次元で映画を語らなければいけ... [続きを読む]

受信: 2008年12月26日 (金曜日) 07時24分

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