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2009年5月24日 (日曜日)

映画「夏時間の庭」(2008年、仏)

     ★★★☆☆

 パリ郊外の旧家を舞台に

Camille Corotの絵画をはじめとした

膨大な美術コレクションを巡る

家族の物語。

 原題は「L'HEURE D'ETE」。     

     Natu

 老婦人Hélène(Edith Scob )には

子供が3人いる。

大学教授の長男Frédéric(Charles Berling )はパリで、

デザイナーの長女Adrienne(Juliette Binoche )はニューヨークで、

ビジネスマンの二男Jérémie(Jérémie Renier )は上海で

それぞれ暮らしている。

夏のある日。

Hélèneの75歳の誕生日を祝うために、

子供と孫たちが

パリ郊外の古い家に集まった。

Hélèneはパリに住む長男Frédéricに、

自分の住む屋敷と

大叔父の美術コレクションの

処分をゆだねる。

1年後、

Hélèneは世を去る。

3人は遺産をどう処分するか話し合い、

最後には

Corotの絵画や家具などの

コレクションを

Musée d'Orsayに寄贈し、

屋敷は売却する。

     ◇

 開館20周年を迎えたMusée d'Orsayが

全面協力し、

本物の美術品を使って撮影されたそうだ。

自然豊かなパリ郊外の屋敷の庭を

描写した冒頭。

カメラは美しい夏の緑、柔らかい陽光、

心地よいそよ風を丹念に拾う。

草木の匂いが画面から

立ちのぼってくるようだ。

 遺産相続がテーマになっているが、

どろどろした骨肉の争いはなく、

ましてや「犬神家の一族」(1976年)のように

連続殺人事件に発展するでもなく、

3人は話し合って、

亡き母の意志を尊重し、

コレクションを

落ち着くべき所に落ち着かせる。

終盤、

売却が決まった屋敷で、

孫娘が仲間を集めて乱痴気パーティーをする。

一見孫娘は屋敷に対する愛着がないようにも思えるが、

やはり彼女も幼いころの思い出のある家が

人出に渡ることはさみしいのだ、

ということがわかるエピソードが良い。

長男夫婦はMusée d'Orsayに行き、

寄贈した美術品が

観覧者の注目をひかないのに

少し落胆する。

母の料理人だった老婦人Éloïse(Isabelle Sadoyan )は、

コレクションのうちFelix Bracquemond作の花瓶をもらう。

美術品の真の値打ち(価格や美術史的価値ではなく)を

理解したのは結局彼女ではなかったか。

「銀座テアトルシネマ」で。

[監][脚]オリビエ・アサイヤス
[撮]エリック・ゴーティエ
[出]ジュリエット・ビノシュ、シャルル・ベルリング、
 ジェレミー・レニエ、エディット・スコブ、ドミニク・レイモン
[上映時間]102分・PG-12

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