カテゴリー「書籍・雑誌」の122件の記事

2009年7月15日 (水曜日)

本:単純な脳、複雑な「私」

     (池谷裕二、朝日出版社)

 脳科学者が高校生を相手に

行った4つの講義を集めた。

「進化しすぎた脳」の続編である。

 直感やセンスは大脳の基底核という

部分で作られる。

大人になっても成長する脳の部位は2か所あって、

それらは前頭葉と基底核だそうだ。

だから、直感は年をとるに従って

研ぎ澄まされてくる、

ということになる。

ちなみに、

脳機能の視点でみると、

直感と「ひらめき」は異なるそうである。

「ひらめき」は思いついた後に

その理由が言えるもので、

直感は「ただなんとなくこう思う」という

漠然とした感覚だという。

年をとっても頭は使わなければ

もったいない、

ということだろう。

    (1700円+税、2009年5月15日)

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2009年6月17日 (水曜日)

本「越前敏弥の日本人なら必ず誤訳する英文 」

    (越前敏弥『ダ・ヴィンチ・コード』、ディスカヴァー携書)

 『ダ・ヴィンチ・コード』などの翻訳家、

越前敏弥さんが書いた

翻訳のノウハウ本。

「日本人なら誤訳する」であろう英文とその訳、

解説を載せたもので、

どれも参考になるものばかりだが、

それとは別に

編集者が越前さんにインタビューした

英語の修行時代のコラムが興味深い。

英語力の基礎となっているのは、

駿台予備校の浪人時代だそうだ。

故・伊藤和夫氏の 「英文解釈教室」

「英文法頻出問題演習」「英語構文詳解」は

バイブルだという。

英語を読むスピードは

同じ文章を2度読んだときにつくという。

  (1050円、2009年2月20日)

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2009年6月 6日 (土曜日)

本「東大入試 至高の国語『第二問』 」

 (竹内康浩、朝日選書846)

 受験参考書のようなタイトルだが、

さにあらず。

「死」と「生」をテーマにした本だ。

東大の現代国語の入試では、

何十年も死を主題とした文章が出題され続けている、

と著者はいう。

「人生の難問なんて、

死ぬこと以外、

他にいくつあるだろう」

金子みすゞの2つの詩

「積もった雪」「大漁」を読んだ感想を書け、

という問題が1985年に出題された。

「多くの弱い者たちに共感する「」「声無きものの声を聞く」などと

書くのが一見模範解答のようだが、

著者はそういう考え方を切って捨てる。

「雪や鰯に『同情』したとたん、目は曇ってくる。自分を『死の現場』から

離れた安全地帯に置いてしまう。苦しんでいる雪や鰯が、実は、

鏡に映った自分の姿だとは気付かなくなる」

からだ。

「私たちが金子みすゞの二つの詩を読むとは、

感情移入や擬人化や同情をすることではなく、

私たちに対する存在の罪という有罪宣告を、

あるいは命の借用書を受け取り、

これまで当たり前だったと思ってきた自分の姿を、

新たに見つめ直すこと」だ。

 (1200円+税、2008年8月25日)

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2009年5月10日 (日曜日)

本「ウェブはバカと暇人のもの 現場からのネット敗北宣言」

    (中川淳一郎、光文社新書)

 著者は博報堂出身のニュースサイト編集者。

その経験をもとに、

罵倒や悪口が跋扈する掲示板や

ブログの「炎上」問題など

ネットのリアルな現状を分析している。

「集合知」という言葉があるが、

今のネットは「集合愚」であるという。

ネットで流行るのは結局「テレビネタ」で、

「企業はネットに期待しすぎるな」

「ネットはあなたの人生をなにも変えない」。

だから、ネットに過度の幻想を持つのはやめよう、

という主張は、

大いにうなずける。

ネットの可能性を熱く語る梅田望夫さんの『ウェブ進化論 』と、

中川さんのこの本を

両方読めばバランスのとれた見方ができるのかもしれない。

 (2009年4月20日、760円+税)

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2009年5月 6日 (水曜日)

本「音楽の捧げもの ルターからバッハへ」

 (茂木健一郎、PHP新書)

  ドイツ・チューリンゲン地方、ライプツィヒを旅した

著者が旅の途中で考えたことをまとめた。

 「見知らぬ土地の暗黙知が、旅する中で、私たちを不意打ちする。

それが、旅することの醍醐味である」(39ページ)

 「神が創造した宇宙は、もちろんすばらしい、しかし、自らが

死すべき存在であることを意識した人間にとっては、

何かが足りない。その足りないところを、芸術的創造で補う。

そのような心の旅程にもし真実があるならば、

その精華の一つが音楽にあることは疑いない」(114ページ)

  (2009年5月1日、720円+税)

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2009年4月24日 (金曜日)

本「その日のまえに」

   (重松清、文春文庫)

 短編小説集。

「その日のまえに」、

「その日」、「その日のあとで」の3編は

主人公の妻の死をテーマにした連作だ。

その日とは、

がんに侵された、まだ40歳代の妻が

病院で亡くなる日だ。

死にゆく妻を、母を

見守る夫と子供たち。

夫婦は

妻がまだ歩けるうちに、と

新婚当時暮らした町に出かける。

そして夫婦がかつて住んでいたアパートの

現在の住人にメッセージを残す。

避けられない冷酷な運命を前に

互いにいたわりあう夫と妻の姿が美しい。

(2008年9月10日、581円+税)

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2009年4月 9日 (木曜日)

本「吉本隆明の声と言葉。〜その講演を立ち聞きする74分〜」

    (吉本隆明、編集構成・糸井重里、紀伊国屋書店)

 思想家、吉本隆明さんが各地で行った講演を

抜粋収録したCDとその解説本。

吉本さんの著書は難解だが、

講演は実に平易でわかりやすい。

東京の下町育ちだけに

口調もざっくばらんで、

かざり気がない。

講演の始めは

「あ、吉本です」

という具合だ。

抜粋収録なので、

いろいろな話が聞ける反面、

いいところで話が終わってしまう

もどかしさも。

と思っていたら、

CDのほかに、

「太宰治」(197分)と「日本経済を考える」(123分)の

2講演をフルバージョンでダウンロードできる

権利が付いている。

お得だ。

    (2008年7月20日、1500円+税)

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2009年4月 3日 (金曜日)

本「涙の理由 人はなぜ涙をながすのか」

     (重松清、茂木健一郎 宝島社)

 小説家と脳科学者が涙について考えた。

「良い涙は閉じていない」

と茂木さんは言う。

その先にさらなるものがあるという。

一方、安っぽい涙はそこで終わっている。

精神の運動がぐるぐる同じところを

回るような回路になっている。

重松さんは、

小説の登場人物に

「自分だけの涙」を流さなければいけないという。

「自分だけの涙」は、

読者自身の自分だけの涙にも届くだろう。

涙にも真の涙と

そこが浅い涙があるということを

この対談で知った。

    (1143円+税、2009年2月21日)

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2009年3月20日 (金曜日)

大噴火せよ

 紀伊国屋ホールで茂木健一郎博士の

講演会を聴いた。

著書「脳を活かす生活術 希望の道具箱」の

発刊を記念したものだ。

茂木博士がこの日強調したキーワードは2つ。

「バブル力」と「ブリコラージュ」だ。

脳内にバブル的活動が起こったあとには、

脳は必ず何かを学んでいる。

そして、脳内で起こしたバブルの数だけ

人は賢くなれる、という。

なるほど、バブル力か。

 一方、ブリコラージュとは、

「器用道具」という意味のフランス語で、

すでに持っているいろいろな道具をつかって

まったく別なものを創造することだという。

講演の後、

一緒に行った倅が、

茂木博士の著書にサインをしてもらった。

茂木博士は

火山の絵とともに、「大噴火せよ」と力強く

書いてくれた。

大噴火っ。

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2009年3月18日 (水曜日)

新宿御苑がミシュランに

 フランスのタイヤメーカー、ミシュランの

観光ガイドブックシリーズのうち日本の観光地を紹介した

「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」(仏語版)が

発売された。

価格は19.90ユーロ。

9月には英語版も発行される予定だ。

「新宿」も2つ星で紹介されている。

新宿地域内の場所・建物では

「新宿御苑」、「東京都庁」が

3つ星(わざわざ訪れる価値のある場所)、

「歌舞伎町」、「新宿ゴールデン街」が

2つ星(近くにいれば寄り道をして訪れるべき場所)、

「損保ジャパン東郷青児美術館」が

1つ星(興味深い場所)、

「東京オペラシティタワー」と「刀剣博物館」が星なし

として合計7か所が載っている。

地域としては「神楽坂」も「新宿」とは

別に掲載されている。

 フランス人が本書片手に新宿御苑を見て、

「トレ・ビヤ~ン」

と言うのだろうか。

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